2014年1月12日日曜日

【おいしいもの+福祉事業+α】シカパン(試食あり!)商品開発ワークショップ(第7回そらキッチン・ナイト)


国際大学GLOCOM社会イノベーションラボでは、「おいしいもの+福祉事業+α」をテーマとしたワークショップを開催します。

今回お話しいただく松澤さんが主宰する「すぎなみマインドプロジェクト」では、杉並区高円寺で障がい者施設の商品開発支援に取り組んでいます。

平成25年4月より、ハート購入法の施行により、就業障害者の経済面の自立を進めるため、公的機関が物品などを調達する際には障害者施設などから優先的・積極的に購入することとなりました。その様な社会的変化の中で、松澤さんのプロジェクトでは、より価値の高い「おいしいもの」を開発していくことを目指しています。今回は、エゾシカの肉を使った「シカパン」商品開発の経緯と課題などについてご紹介いただき、今後の発展(+α)の可能性を参加者の皆さんと考えていきたいと思います。

日時:2014年1月22日(水)19時30分-21時30分(予定)
会場:国際大学グローバル•コミュニケーション•センター(GLOCOM)ホール
住所:東京都港区六本木6-15-21

参加費:1000円
     (シカパン(カレー味、チーズ味)各1個、自家製プリン、ソフトドリンク付き!)

スピーカー:
 石崎英治さん(株式会社クイージ 代表取締役)
 安住一成さん(NPO法人どんまい福祉工房副理事)
 松澤圭子さん(株式会社トロア 代表取締役)

松澤さんプロフィール:

(株)セブンーイレブン・ジャパン マーチャンダイザー、(株)ワールド 食品、雑貨等商品開発マネージャーを歴任。
大手流通業、メーカーのコンサルティング事業を展開する一方で、2012年より「すぎなみマインドプロジェクト」主宰し、障がい者施設の商品開発支援に取り組んでいます。

お申込み:
下記のFacebookイベントページからお申込みください。Facebookが利用できない場合は shoji [at] glocom. ac.jpまで、お名前とご所属をお知らせください。

「オランダという国での『自己決定』を巡る議論」開催レポート


1月12日、門前仲町の陽岳寺にジャネット・あかね シャボットさんをお招きし、「オランダという国での『自己決定』を巡る議論」を開催しました。当日は50人以上の方にご参加いただきました。ありがとうございました。

イベント概要はこちら


※レポート(感想):庄司昌彦

テーマはオランダにおける安楽死をめぐる制度と実態について。はじめに講師のジャネット・あかね シャボットさんは「頭のなかのスクリーンをすべて除去してください」と述べた。先入観や価値判断を取り払い、オランダでどのような議論があってどのような制度が作られているのか、実際にどのようなことが起きているのかを静かにうかがった。

オランダの安楽死は「本人」の「任意」かつ「熟慮の末」の「要請にもとづいて」「医師」が実施する「医療行為」だ。もちろん保険も適用される。ただし実施にあたってはいくつかの類型があるし、いずれにしろさまざまな要件を満たす必要がある。そうした条件のひとつひとつに長い長い議論があったそうで、これは相当具体的に考えぬかれた仕組みだということがわかった。

制度だけでない。実際に安楽死を行うと決めるまでのプロセスもきめ細かく丁寧に進んでいく。安楽死を望む人は、家族や医師などと何度も何度も相談を重ねる。いわゆるインフォームドコンセントだが、「情報を提供して自己決定させる」といったこの言葉から想像するものよりもずっと丁寧で、ああでもないこうでもないと迷い、考えていく、双方向の対話プロセスだということがよくわかった。そして、周囲も納得のうえで自己決定をするのでその意思は尊重される。実際、オランダの安楽死の実態を調査した米国の人類学者は「生命終結行為は全体のごく一部であり、これは対話のプロセスである。それが緩和ケアになっている」と評価したそうだ。そして、安楽死を選んだ人のほぼすべてが自分にとって「大切な人」に囲まれ、自宅で家庭医によって安楽死しているという。

こうしてオランダでは安楽死が合法化されているが、ただしこのプロセスは必ず「検証可能」でなくてはいけないそうだ。こっそりやることは許されない。透明性がなくてはいけないのだ。こうした透明性とディスカッションはオランダの伝統らしい。

シャボットさんの話をまとめると、オランダで安楽死の要請をする人は自殺願望者ではない。むしろ、自分の生はよりよいものでありたい(≒尊厳のあるものでありたい)と考える人たちである。言い換えると安楽死は「よく生きる」ことを追求した結果の結論のひとつだということだ。死は自分と周囲との関係の中にあり、しかしたとえその決定が部外者から見て「ベスト」なものでなくても、最終的には本人の決定を尊重する。シャボットさんは、「自己決定と隣人愛」ということをキーワードとして述べていた。

まだ僕は「死」「安楽死」ということをほとんど身近には考えられない。しかし、これを家族や周囲の人々との関係の延長の中にある自己決定なのだと捉えると、それはつまり今の「生」とつながっていることなんだといえると思った。

2013年9月2日月曜日

福祉器具の「C 2 B」ビジネスを創ろう(第6回そらキッチン・ナイト)

社会イノベーションを志向する企業人、社会企業家、研究者等の集まり、「そらキッチン(Social Labs KITCHEN)」では、社会イノベーションの種を発見しブラッシュアップするイベントを開催します。

■テーマ: 福祉器具の「C 2 B」ビジネスを創ろう

■日時: 9月6日(金)19時-21時

■会場: 国際大学GLOCOMホール

■目標:
福祉器具の販売から、その福祉器具の購入者がビジネスを起こすまでのストーリーを一緒に作りませんか?

■発表者: 神村 浩平氏 
日系半導体企業の経理部でキャリアをスタート。2年間の実務経験から英語の重要さを実感し単身渡米。アメリカでは奨学生として準学士号を取得。並行して車いすバスケットボールの選手として全米選手権2位を経験。帰国後、仲間と海外福祉器具の輸入販売事業を立ち上げを行い、その後外資系証券会社に勤務。現在は2013年7月から二子玉川でC2B(お客さんとして商品・サービスを購入した人がそれを通じて価値を生み出すビジネス)の立ち上げを行っている。

■参加費:
1,000円 (若干のドリンク等をご用意します)

■申込み:
Facebookイベントページからお申込みください。

Facebookアカウントをお持ちで無い方は、下記までお名前とご所属をお知らせください。

shoji[at]glocom.ac.jp  庄司昌彦(国際大学GLCOOM 主任研究員)

2013年8月31日土曜日

【デザインで創る】~安心して認知症と暮らせる社会~

 
GLOCOM社会イノベーションラボとして、ブリティッシュ・カウンシル主催の「【デザインで創る】~安心して認知症と暮らせる社会~」というイベントの開催に協力しました。

英国デザインカウンシルのカミラ・ブキャナンさんは、「社会に変革をもたらしたり社会問題を解決するプロセスとしてデザインを捉えている」と述べました。これがデザインシンキングというものです。

ちなみに日本の経済産業のページではこう説明されています。
デザインは、直接かつ分かりやすく視覚に訴えるものであり、コンセプト、技術、品質、サービス等、ブランド確立に必要な他の要素を簡潔に表現するための重要な手段であるため、特に国際競争が激しい分野や技術的に成熟し製品の差別化が困難な分野においては、デザインを戦略的に活用することが求められています。
http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/human-design/policy1.html

カミラさんが紹介したLiving well with dimentiaの成果は、食べ物の「香り」を使って栄養不足になりがちな認知症高齢者の食欲を刺激する製品や、認知症高齢者とともに生活する犬など、視覚ということにまったくこだわっていません。五感を駆使して課題を解決するための物を作り出していく姿勢が最も記憶に残りました。

もうひとり話題提供をした徳田雄人さんは、認知症患者が予備軍を含めると900万人規模になってきていることを指摘し、日常から隔離するなどして対処する専門的課題から、普通の生活の中で付き合っていく社会的課題に変わってきたことを指摘しました。社会生活の中に認知症が溶け込んでいくということは、私たちの生活を支えているさまざまな商品やサービスが認知症の方々に対処する必要があるわけで、ここに新しいビジネスやサービスを作り出すフロンティアがあると思います。

そして、写真にあるように、各自の気付きや今後行動したいことを木の葉と蝶々の形の紙に書いて木に貼っていくというアウトプットがとても美しかったです。これはデザインカウンシルが考えたのではなく、 秋元さんや湯浅さんなどブリティッシュ・カウンシルによるもの。素敵な時間でした。



2013年1月7日月曜日

レポート:「浦安・元町におけるフィールドワーク」プラカデミアサロン2012 社会イノベーション・フューチャーセンター第6回セッション


 

 


12月19日、プラカデミアサロン第6回セッションとして、千葉県浦安市を訪問してのワークショップが開催されました。

今回は、第4回セッションで確認した2つの方向性のうち、ヒューマンケアの領域から社会イノベーションの対象となるテーマを導き出すことが、目的です。

訪問先である浦安市は、本プログラムおよびその母体であるそらキッチン・メンバーの小黒信也氏が、浦安ハーブプロジェクトで活動している地域です。同プロジェクトに関しては、第5回そらキッチンナイトでもその取り組みが紹介されました。

当日は昼過ぎから、小黒氏の案内で浦安駅周辺を散策し、地理・景観・歴史など、地域の雰囲気と特徴をまずは把握することにしました。そして約2時間の散策を終えた後に、浦安市市民活動センター2階会議室にて、フィールドワークの振り返りを行いました。

埋め立てが進む前に栄えていた浦安の元町と呼ばれる地域を実際に歩いてみると、今は目立たなくなっているものの、漁師街として賑わっていた頃の痕跡にあちこちで出会いました。

特に、今は細い路地に見えるフラワー通り商店街が、当時の浦安のメインストリートであり、商家や財をなした漁師が粋な造作の家を建てたり、庶民が映画や寄席を楽しむために集まってきたりする文化拠点であったことがよく分かったのは収穫でした。

今後はこうした地域の資産を、浦安ハーブプロジェクトで進めている高齢者の居場所役割づくりや、新しい地縁作りといった取組みにどう結びつけていくのか、またそこに各自の専門性や本業をどう結びつけていくのか、知恵を絞っていくことになります。

次回は、第5回と第6回のセッション(フィールドワーク)での気づきを活かして、社会イノベーション・プランのブラッシュアップを行います。


(寺地幹人・庄司昌彦)

レポート:「鳴子温泉郷におけるフィールドワーク」プラカデミアサロン2012 社会イノベーション・フューチャーセンター第5回セッション



12月6日、プラカデミアサロン第5回セッションとして、宮城県の鳴子温泉郷を訪問してのフィールドワークが開催されました。

今回は、第4回セッションで確認した2つの方向性のうち、非都市部の地域社会の現状と課題から社会イノベーションの対象となるテーマを導き出すことが、目的です。

当初訪問先としていた同県気仙沼市から変更になり、訪問前のリサーチの時間が十分ではなかったものの、多くの参加メンバーが分担で鳴子温泉郷について下調べをして、ワークショップに臨みました。

当日は午前中から昼過ぎにかけて、首都圏から現地に移住して活動している鈴木氏に主にガイドをしていただき、こけし工人(柿澤こけし店 柿沢是伸氏)、農産加工者(北浦つや子氏)、旅館経営者(大正館社長 菊池英文氏)という異なる業種の3名にお話しを伺ったり、実際に地域の温泉を訪れて泉質を体感しました。

3名から伺ったお話の詳細については割愛しますが、いずれの方も、それぞれの産業が鳴子温泉郷という地域で「生活」していくことと密接に関わっていることを、その歴史を踏まえつつ語ってくださったことが、印象的でした。
今回の訪問ご協力いただいたGEOCのレポートもご参照ください:
温泉郷をまわった後は、旅館大沼の別館にて郷土料理(はっと汁など)を昼食としていただき、湯守の大沼伸治氏を交えたディスカッションを行いました。

大沼氏は、旅館の経営者であるとともに地域振興に関わる数々の活動に関わってきていて、その経験も踏まえながら、鳴子という地域に携わるさまざまなの立場の人たちのプラットフォームの形成について語っていただきました。

ディスカッションのポイントとしては、例えば、地域特有の産業と社会の大きな産業構造の関係があります。鳴子はお湯の力で成り立っている地域ですが、そのお湯の力を活かした湯治が農業という産業に携わる人のライフスタイルと密接であるがゆえに、社会における農業の趨勢が、この地域に大きく影響を与えます。

2010年代における鳴子地域内外の経済・産業・労働・生活にどのように向き合い、地域のさまざまな生業とそこに携わる人たちの暮らしを構想し、実践していけるか。今回は課題の一端を垣間見ただけですが、Step4.アウトプット・チェックアウトのときには、訪問で各メンバーが得られた示唆を集結し、このサロン独自の提案ができればと思っています。

次回は、福祉・ヘルスケアの現場におけるワークショップを開催します。


(寺地幹人・庄司昌彦)

2012年11月5日月曜日

レポート:「東北地方の復興支援活動を社会イノベーションへつなげるには」プラカデミアサロン2012 社会イノベーション・フューチャーセンター第3回セッション



10月31日、二子玉川のカタリストBAにてプラカデミアサロン第3回セッションが開催されました。

今回は、全8回で行われる「社会イノベーション・フューチャーセンター」の第2ステップ「ダイアログ」(2回目)にあたります。このステップは、「ゲストとの対話から発想を得る」ことを目的にしています。

当日は、東日本大震災の被害を受けた東北地方のプロジェクトを支援している「一般社団法人環境パートナーシップ会議」(http://www.epc.or.jp/)の平田裕之氏をお招きし、参加者自身の仕事・プロジェクト等を活かしてどのように東北地方と関わっていけるかについて考えました。

セッションの始めは平田氏より、東北復興活動の現状、環境パートナーシップ会議が具体的に取り組んでいるプロジェクトの紹介、復興支援活動が抱える課題・今後の構想などについて、お話しいただきました。復興支援期に移行した東北地方において、既存の枠組みとの関係で孤立する起業家が生まれてしまうこと、現場の合意形成が困難で活動がスケールしづらいこと、多様な現場ニーズに中間支援側が必ずしも対応しきれないことなど、実際の支援活動に関わる問題を認識しました。

講演を受けたディスカッションでは、復興プロジェクト推進におけるキーパーソンの重要性、外部から受ける支援と現場の自発性/自立性をバランスさせること、長期ビジョンと超短期の対応だけでなく中期的な取り組みも重要となることなど、今後の復興支援を考える上で重要な論点が議論された。また、「現場の多様な課題に対して、現場・支援団体・第三者を含めた多様なつながりを活用して問題解決にあたること」および「東北で現実に起こっている課題を自分たちの未来と関連付けて捉えること」の必要性も確認しました。

休憩を挟んだ後、参加者は4グループに分かれ、それぞれのグループにおいて「自分の仕事・プロジェクトなどとの関わりにおいて、東北地方と関わる際にどのようなことができるか」という点について意見交換を実施しました。各参加者は、自身が携わっている本業業務をどう東北と関連付けるか、自身の持つスキルをどう活かすか、さらには別の参加者が持ち寄ったアイデアと自身の活動をどう組み合わせて東北と関連付けられるかなどを議論しました。

今回はそれらアイデアを全体で集めるところでセッションは終了し、それをもとにしたグループ分けは次回に持ち越しとなりました。「環境パートナーシップ会議の活動と結び付けられる可能性を持ったアイデアも複数あった」といったコメントや、「今後予定されている東北でのワークショップを前に、より深く東北の現状を理解する機会を設けたい」といった意見も交わされました。具体的に東北での活動を考える一つのきっかけとなる、非常に有意義な3時間のセッションとなりました。


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次回(11月7日)は、第3ステップ「プロトタイピング」へと移行し、具体的な社会イノベーションをデザインしていくため、参加者の関心に基づき、福祉・ケアのイノベーションをテーマとするチームと、東北地方の地域ビジネスをテーマとするチーム編成し、具体的なテーマを選定していきます。

みなさんも、さまざまなバックグラウンドをもつ仲間と、社会的課題について議論し、解決に向けた一歩を踏み出してみませんか?

プラカデミアサロンへの申し込み方法については、下記URLをご覧ください。
http://www.glocom.ac.jp/2012/10/2012.html